ツバクラメ 川原田祐馬 INTERVIEW(前編)

「就職試験受けてるときに曲作って、ある意味はっきりしましたけどね、音楽がしたいっていう」

バンドやろうぜ!講座とでも言うようなものが出来てしまった(そう言えばあの雑誌もうないのかな?)でも今、バンドやってる学生なんかにはちょっとしたヒントになるかもしれない。もちろんもうバンドで食っていける時代じゃない――残念なことに90年代とは比べものにならないほど音楽は売れなくなってしまった――、ツバクラメのメンバーもこの4月に全員が社会人になった。でもだからこそ鳴らせる音楽があるのだ。


――  まずはメンバーそれぞれの年齢を教えてください。

川原田 「ドラムの(二神)紗耶さんが25で、(ボーカル/ギターの)僕が24、そしてベースの(河辺)建が23で、ちょうど1個ずつ違います」

――  音楽を始めたきっかけは何ですか?

川原田 「母親と父親が音楽好きで、特に母親の音楽センスが凄い良かったんですよ。なんせ小2の頃にスピッツのライブに連れてってくれましたからね。まだ“空も飛べるはず”とかがシングルで出た頃ですよ。小4のときにトライセラトップスのライブに連れてってくれたり、中学生の頃にシャムシェイドのライブに連れてってくれたり、何かその辺結構大きいかもしれないですね。」

――  楽器は何から始めました?

川原田 「ギターから始めましたね、最初は歌う気は全然なかった。家にアコギがあったから小4のときくらいから始めて。指小さいから弾けもしないのに(笑)親もちゃんと教えてくれないからタブ譜とか見ながら、スピッツとかバンプとか、それこそブルーハーツとか楽だったから覚えましたね」


――  バンドはいつから?

川原田 「バンドは高校になってからですね。一番最初に始めたのがカバーでした。ギターの人が無茶苦茶うまくて、そいつが楽譜なんていらないよって感じで、耳でやれ耳でみたいな、最初はしんどかったんですけど、耳で聞いてアレンジとかもそれなりに変えてやって、だから女性の曲を男性が歌うみたいな感じで、松任谷由美とか、だから特殊なことから始めたから、コピーコピーしたのはやってないんですよね。それで結構鍛えられた。その時点では全然歌う気はなかったからただのギタリストなんですけど。でも高校時代は軽音部がなくて、学園祭に向けてやってたくらいだったから、大学入ってもっとやりたいなと思って、軽音部に入って、先輩に言われるがままに、ギター、ベース、ドラムで3人取り合えず集まったんですけど、誰が歌うんだっていう話になって、誰も仕切らないから、高校のときにやってたカバーでいいなら歌えるかなと思って歌うようになった。ボーカル探すくらいなら自分で歌った方が早いかっていう(笑)」

そんな大学に入ってすぐにツバクラメは結成されることになる。最初はドラマーの二神紗耶と組むものの3回もメンバー交代を繰り返して、まさに3度目の正直とでも言うように今のメンバーに固まったのは2年前のことだった。

川原田 「卒業してからどうしようみたいなのもあったんですけど、東京で就職試験受けてるときに時間あるからと思って“ロックンロールスター”作って、ある意味はっきりしましたけどね、音楽がしたいんだなっていう。試験受けてるときはまだ紗耶さんを誘う気も、建を誘う気もなかったんですけど、でもこの曲がぼんやり出来た頃にやっぱりバンドやりたいんだなぁと思って」

ツバクラメ - ロックンロールスター PV

そんな最も強い思いのこもった曲のPVを作らせて頂いて本当に嬉しかった。その後まさかツアー告知CMや特典DVD-Rまで作るとは思っていなかったけど、考えてみると本当、ツバクラメとの出逢いがこのHPを開設するきっかけになったことは言うまでもない。

――  ツアーどうでしたか?

川原田 「ツアーね、むっちゃ楽しかったですね。いやー、うん、なかなか大変でしたけどね。何が大変って組むまでですかね?なんせ今回こうやってツアーの初日とファイナルを決めてっていうのが初めてやったんすよ。前はツアーとか適当に言ってやってたんで、奈良行って、東京行って、京都でポンポンポンとやって、ていう終わりがないツアーやったんですね。始まりはあるけど終わりがなかった、いつ終わんねん?っていう(笑)ツアーって呼べなかったんですけど、だから今回はちゃんとやってみようっていう。初日とファイナルを僕らの企画にしたので、そこが結構大変でしたね。なんせ出演者を集めたりとか、企画なので打ち合わせすることも多かったり、で、あとツアーだったら大阪どうやって行けるのかなとか考えたり、イベンターの方と最近つながりがあったんで、ちらっと言ってみたら組んでやるよ~って言ってくれて、あーざっすみたいな(笑)大阪はたまたまそういうことしてくれて、名古屋、東京はまた別の人で、レコード会社の方と喋ってるうちに、今ちょうどツアー組んでるんですよ。どこ行くの?ってなって、名古屋とか東京とか行きたいんですけどね、ってちらっと言ったら組んでやるよって(笑)」

――  その2人とはどこで知り合ったんですか?

川原田 「両方ともVOXhallのおかげですね。VOXhallにそういう人が来たら何かと紹介してくれて、ちょっと喋って、ライブ観てもらって、また喋ってみたいな関係を続けて。でも本当たまたまですよ、僕らがマスターとよく喋るんで、あっちはどうか分からないですけど、関わろうとしますからね僕らは、VOXhallは有堀さんって言って若くて凄くやる気のある人で、僕らが去年の2月に出たときに凄く気に入ってくださって、たくさんお客さんも呼ぶしね(笑)ライブハウス側からするとお客さんをたくさん呼ぶ人は気に入ってくれるんですよ(笑)まず最初に、でもそこじゃなくても、ああいう音楽が好き人だと思ってて、単純に僕らを気に入ってくれて、それでなんかバンドとしての動き方をさっぱり知らない僕らだったんで、どうして行けばいいか分からなかったんで、でも小さなフェスでもいいから出れるようなバンドになって行きたいですって言ったら、じゃあ頑張ろうって言って年間計画みたいなのまで一緒に考えてくれたりして、本当バンドの味方ですね。どうやって動いていいか分からなかった僕らに手ほどきしてくれたのがVOXHALLですね。で、まずは知名度を上げないと話にならないから露出度を高くしようって言って、どんどんいいライブ?お客さんが集まりそうなライブとか、面子のいいライブにお前らを組み込んで行くから頑張れみたいなことを言ってくれて、ああそれは頑張りたいねっていうことを経ての1年だった」

やはり出逢いは大事なんだなぁと思う。どんなにいい音楽をやっていたって、いい人と出逢わなければきっとその音楽がひとりでも多くの人に届くことはないんじゃないだろうか。そういう意味でもツバクラメはそんな出逢いに恵まれていたのかもしれない。もちろんそれはいい音楽であることは前提としてあるんだけど。



――  何でVOXhallにしたんですか?偶然?

川原田 「いや偶然っていうよりはそろそろほかのライブハウスに出たいねってなって、VOXHALLの名前はよく聞いてたんで信頼ありそうと思って、音源をまず持って行って、出させてくださいって言って、まぁ売れてるバンドではなかったので。ただの素人バンドにしか見えないので。だから音源持って行って、たまたま店長の有堀さんが担当してくれて、ブッキングって何人かいるんですけど、たまたま店長が取り合ってくれたので、ラッキーですね、それで店長の有堀さんのブッキングで1回出て、そっから有堀さんが、プロデュースしてくれたみたいな(笑)」

――  バンドとかのつながりで出るとかではなく?

川原田 「ああ、それは企画ですね、基本はライブハウスのブッキングで全然知らない人たちとあたって行くんですよ。どこのライブハウスもそんな感じですよ。だからブッキングで呼ばれたバンドが仲良くなったりつながりが出来たりして、企画して呼ぶみたいな感じです。だから出逢いの場を提供するみたいなのがありますよね。ライブハウスがブッキングしてこのバンドとこのバンドをあてたら仲良くなるんじゃないかとか、その日面白くなるちゃうかとか、そういうのを動かすのがライブハウス側なんで、だから僕らをいいとこに当てて行くからつながっとけみたいな。だからライブハウス側とバンドの関係性次第ですよね」

すみません、こんなことやっといて実は初めて知りました。いやーそういうもんなんですね。つまりライブハウスに気に入られなければ出れないみたいなものなんですね、考えたらそうなんですけど。ちょっと目から鱗でした(笑)


――  ツバクラメ企画のバンドはどういう感じで呼んだんですか?

川原田 「本当にVOXHALLの中で知り合ったバンドですね。幸い仲良くなるのが僕うまいんですね(笑)僕、本当にバンドが好きなんで、好きになったバンドさんにはライブ終わったらすぐ声かけに行って、良かったですって言って、で、仲良くなれそうだったら仲良くなっちゃうっていうみたいなことを去年1年続けてて、そういえば知り合い結構増えたなみたいな、そうやって声かけて仲良くなったバンドは、また別の日に会ったりしたらまた仲良くなれたりして、だからそうやって何回か一緒にやってるんだけどっていうバンドをバーって集めましたね。でも1回しかやってないとか、モルグモルマルモとかはやってないんちゃうかなっていう、モルグは完全に僕がファンなんで(笑)でもVOXHALLにメッチャ出てる人なんで、僕もよくいるんで、ちょこちょこ会う度に仲良くなって、だから今考えるとそういえば一緒にやってないのかみたいな。OPENING CLOUDとかも1回くらいしかやってないんちゃうかな。ステレオタイプはメチャメチャやってるけど、ロマンチップスも1回かな、ロマンチップスは僕ら3人ともメチャメチャ好きだからライブをメッチャ観に行って、大学の学園祭に呼んだりとか、メッチャ仲良くなったんで、そんな感じで企画はやりましたね」